◆災害対策コーディネーター  NPOが養成講座 ◆
 
アイマスクをしてつえでの歩行を体験する参加者たち

災害時のボランティア受け入れや避難所の運営補助などボランティアとして中心的な役割を果たす人たちを県が認定する「県災害対策コーディネーター」。市原市では今年度から、市内外で防災活動に取り組むNPO法人が養成講座を実施し、防災の裾野の拡大に努めている。(杉野謙太郎)
 災害時に各団体間や行政の橋渡し役となる災害対策コーディネーターは2003年度に始まった制度で、昨年度までに382人が認定されている。
 市原市の災害ボランティアなどで結成されたNPO法人「ゆかいな仲間たち」の理事長白尾克伸さん(56)もその一人。東日本大震災では、県庁舎で支援物資を仕分けしたり、宮城県名取市でボランティアセンターの運営を支援したりした。普段からコーディネーター同士のつながりを持つことで、災害時もスムーズに支援を要請できたという。
 こうした認定者を増やそうと、昨年度からは市町村も講習を行えるようになり、茂原市がNPO法人に委託して実施。今年度は県のほかに、市原市とゆかいな仲間たちが共催で行い、約50人の受講生が5月から10月まで毎月1回、1日がかりの講習を受けている。県地域防災計画や災害ボランティアセンターの運営などを学び、毎回昼には受講者たちが自ら炊き出しを行い、災害時さながらに非常食の食事を取る。
 同市内で8月25日に行われた講習では受講生約50人が障害者への支援をどう行うかを学んだ。視覚障害者の気持ちを知るため、アイマスクを着けつえを手に、パートナーに介助されながら歩く体験をしたり、聴覚障害者にボードに手書きした短文で連絡したりした。
 参加した同市青葉台のパート職員桑原秀明さん(65)は「大震災がきっかけで受講したいと思って参加したが、具体的な実習が役に立つ。きょうはアイマスクを着けて歩いて、災害時にサポートする人の存在がいかに重要かがよくわかった」と語った。
 講座では、受講生のほかに既に認定されたコーディネーターも受け入れており、この日は約20人が参加した。白尾さんは「防災の原点は、日頃の活動の継続。受講生も認定者も継続して学んでもらえれば」と話している。
読売新聞 9月4日‎
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